室内の空気を効率よく循環させるサーキュレーターは、冷暖房の効果を高め、省エネにも貢献する便利な家電製品です。しかし、その動作音は時に気になるもので、特に静かな環境では不快に感じることもあるでしょう。本記事では、「サーキュレーターを静かにする方法」をテーマに、サーキュレーターがうるさくなる原因を徹底的に解説し、今日からできる具体的な対策、そして静音性に優れたモデルの選び方までを網羅的にご紹介します。快適な室内環境を手に入れるために、ぜひ本記事をお役立てください。
サーキュレーターがうるさい原因を徹底解説
サーキュレーターの騒音には、いくつかの原因が考えられます。それぞれの原因を理解し、適切な対策を講じることで、静かな運転を取り戻せる可能性があります。
羽根の汚れ
サーキュレーターの羽根にホコリや油汚れが付着すると、空気の流れが乱れ、「ブォー」や「ゴー」といった低い音が発生する主な原因となります。羽根に汚れが蓄積すると、サーキュレーターは本来の性能を発揮できなくなり、同じ風量を確保しようとしてモーターがより強く回転するため、結果的に騒音が大きくなるのです。また、羽根に不均一にホコリが付着すると、回転時のバランスが崩れ、振動が発生し、これも騒音の原因となります。
さらに、羽根やガードに大量のホコリが付着した状態での使用は、異常音や振動だけでなく、モーターの過熱にも繋がる可能性があるため注意が必要です。日頃からこまめな清掃を心がけることが、静音性を保つ上で非常に重要です。
モーターの振動
サーキュレーターの心臓部であるモーターも、騒音の大きな原因の一つです。モーターの内部では、様々な要因によって異音が発生することがあります。「ザー」「ジャー」「ジー」といった音や、「ウーウー」「ゴーゴー」といううなり音は、共振や部品の組み付け不良、ベアリングの変形などが考えられます。
また、「キュルキュル」「キーンキーン」といった音は、内部の接触や潤滑油の不足が原因となることがあります。さらに、モーターを手で回した際に「ゴリゴリ」「コリコリ」といった感触がある場合は、内部の部品に損傷や異物の混入が疑われます。
長期間の使用によるベアリングの摩耗や、シャフト、ハウジングといった部品の摩耗も、振動や異音の原因となります。これらのモーター内部の問題は、専門的な知識がないと特定や修理が難しい場合が多いため、異音が続く場合はメーカーや専門業者への相談を検討しましょう。
設置場所の不安定さ
サーキュレーターを不安定な場所に設置することも、騒音の原因となります。例えば、床面が平らでなかったり、柔らかい素材の上などに置くと、運転時の振動が吸収されにくく、共振して騒音が増幅されることがあります。取扱説明書にも、不安定な場所での使用は転倒や事故の原因になるとともに、騒音にも繋がる可能性があることが記載されています。
サーキュレーターを設置する際は、できるだけ平らで安定した場所を選び、周囲に物が接触していないか確認することが大切です。
経年劣化
長年使用しているサーキュレーターは、部品の経年劣化によって騒音が大きくなることがあります。設置から10年以上経過すると、経年劣化により異音が発生しやすくなると言われています。
サーキュレーターも同様に、モーター内部の部品や羽根を固定する部品などが長年の使用で摩耗したり、緩んだりすることで異音が生じることがあります。特に、羽根の軸受にあるベアリングの摩耗は、「キュルキュル」といった異音の原因となる可能性があります。また、モーターを回転させるための潤滑油が不足することも、異音の原因となり得ます。
長期間使用しているサーキュレーターの騒音が気になる場合は、買い替えも視野に入れると良いかもしれません。
その他の原因
上記以外にも、サーキュレーターがうるさくなる原因はいくつか考えられます。羽根や網などのパーツを固定しているネジが緩むと、パーツがぐらつき、「キュルキュル」という異音が発生することがあります。また、本体の軸や羽根の元に塗られているグリスが切れて、パーツ同士が直接こすれることで同様の音が発生することも。
羽根を軸に固定する部品が緩んでいる場合や、羽根の軸と接するパーツが破損または緩んでいる場合も、「カタカタ」といった異音の原因となります。さらに、羽根やカバーの間に小さなゴミや異物が挟まっている場合も、回転時に異音が発生することがあります。
これらの原因に対しては、ネジや部品を締め直したり、グリスを塗布したり、異物を取り除くといった対処法が考えられます。
今日からできる!サーキュレーターの静音化対策
サーキュレーターの騒音を軽減するためには、日々のちょっとした工夫が大切です。ここでは、今日からすぐに実践できる静音化対策をご紹介します。
掃除
サーキュレーターの騒音対策として最も効果的な方法の一つが、定期的な掃除です。羽根に付着したホコリや油汚れは、空気の流れを妨げ、騒音の原因となるため、こまめに取り除くことが重要です。
基本的な掃除の手順
- 電源を切る・コンセントを抜く: 必ず電源を切り、コンセントからプラグを抜いてください。掃除中の誤作動を防ぎ、安全に行うための基本です。
- 分解する: 床に新聞紙などを敷き、取扱説明書に従ってカバーや羽根など分解できるパーツを取り外します。分解できない機種の場合は、無理に行わないでください。
- ホコリを取り除く: 分解したパーツや本体に付着したホコリを、掃除機やハンディワイパー、ドライシートなどを使って丁寧に吸い取ります。細かい部分には、掃除機のアタッチメントやブラシを活用しましょう。
- 水拭き・水洗い: ホコリを取り除いた後、水で濡らして固く絞った雑巾やウェットシートでパーツを拭きます。油汚れがひどい場合は、薄めた中性洗剤を使うと効果的です。水洗い可能なパーツは、ブラシなどを使って丁寧に洗い、洗剤が残らないようにしっかりとすすぎます。ただし、水洗いできないパーツもあるため、取扱説明書を必ず確認してください。
- 乾燥させる: 水拭きや水洗いをしたパーツは、完全に乾かしてから元に戻します。水分が残っていると、故障やカビの原因になることがあります。
- 組み立てる: 分解した時と逆の手順で、しっかりと組み立て直します。ガードの固定が緩んでいないか確認しましょう。
さらに効果的な掃除のヒント
- 静電気防止スプレー: 掃除後に静電気防止スプレーを吹きかけると、ホコリが付きにくくなる効果が期待できます。
- 定期的なお手入れ: 3ヶ月から半年に1回程度の念入りな掃除が推奨されています。特に油汚れが落ちやすい夏季の掃除がおすすめです。
- 分解できない場合の掃除: 分解できないサーキュレーターの場合は、ハンディワイパーやエアダスターを活用し、できる範囲でホコリを取り除きましょう。ベランダやお風呂場など、ホコリが飛び散っても良い場所で行うのがおすすめです。
設置場所の工夫
サーキュレーターの設置場所を工夫することも、騒音対策として有効です。
- 安定した場所に設置する: 平らで安定した場所に設置し、ぐらつきがないようにしましょう。不安定な場所に置くと、振動が増幅されやすくなります。
- 壁やカーテンから離す: 壁に密着させたり、カーテンなどの障害物の近くに置くと、空気の流れが阻害されたり、吸い込んだものが接触して異音が発生する可能性があります。適切な距離を保って設置しましょう。
- 効果的な配置: 部屋の広さや用途に合わせて、サーキュレーターの向きや角度を調整することで、より低い風量でも効率的に空気を循環させることができます。
例えば、冷房時はエアコンの対角線上に置き、天井に向けて風を送ると、部屋全体の温度を均一にするのに役立ちます。暖房時は、エアコンの風が届きにくい場所に置き、エアコンに向かって風を送ると、暖かい空気を循環させることができます。換気を行う際は、窓に向けて風を送ると、効率的に室内の空気を排出できます。
防振対策
サーキュレーター本体から発生する振動が気になる場合は、防振対策を試してみましょう。
- 防振マット・パッドの使用: サーキュレーターの下に防振マットやパッドを敷くことで、振動が床や台に伝わりにくくなり、騒音を軽減できます。柔らかいスポンジやゴム製のマットなどが効果的です。特に、2階以上で使用する場合や、音が階下に響きやすい場合は、防振対策を検討する価値があります。
- 吸音材の利用: サーキュレーターの周囲に吸音効果のある素材(例えば、厚手の布やカーペット)を置くことで、反響音を抑える効果が期待できます。
その他
上記以外にも、以下のような点に注意することで、騒音を軽減できる可能性があります。
- ネジの締め直し: 羽根やカバーを固定しているネジが緩んでいる場合は、締め直してみましょう。
- 潤滑油の塗布: モーターの軸部分に潤滑油を塗布することで、摩擦が減少し、異音が解消されることがあります。ただし、換気扇など専用のオイルが必要な場合もあるため、取扱説明書を確認するか、メーカーに問い合わせることを推奨します。
- 風量の調整: 風量を強くすればするほど、動作音は大きくなります。必要以上に強い風量で使用しないように心がけましょう。
静音サーキュレーターの選び方:快適な風を手に入れる
もし現在使用しているサーキュレーターの騒音がどうしても気になる場合や、これから初めて購入を検討している場合は、静音性に優れたモデルを選ぶことが重要です。静音サーキュレーターを選ぶ際のポイントをご紹介します。
モーターの種類
サーキュレーターのモーターには、主にACモーターとDCモーターの2種類があります。静音性を重視するなら、断然DCモーター搭載モデルがおすすめです。DCモーターは、ACモーターに比べて駆動音が非常に静かで、運転音の目安としては約15~30dB程度と、図書館の中にいるような静けさです。一方、ACモーターの運転音は約40~50dB程度で、通常の会話くらいの音量になります。
また、DCモーターは省エネ性能にも優れており、電気代を抑えることができるというメリットもあります。
騒音レベル(dB表示)
製品の仕様欄に記載されている騒音レベル(dB:デシベル)は、静音性を判断する上で非常に重要な指標となります。一般的に、50dB以下の運転音であれば、日常生活においてそれほど気になることはないでしょう。特に寝室で使用する場合は、30dB未満のモデルを選ぶと、睡眠の妨げになりにくいでしょう。
製品によっては、最小風量時の騒音レベルを記載している場合や、「静音モード」時の騒音レベルをアピールしている場合があるので、比較検討する際の参考にしてください。
羽根の形状と設計
最近では、羽根の形状や設計を工夫することで、より静かな運転を実現しているサーキュレーターも増えています。例えば、フクロウの翼の形状を応用した「ネイチャーウィング」を採用し、大風量ながらも騒音を抑えるモデルや、高性能なエアダクトや防音性の高いスパイラルグリル設計によって静音性を高めているモデルなどがあります。
これらの特殊な設計は、空気抵抗を減らし、乱流を抑制することで、運転音の低減に貢献しています。
静音モードの有無
就寝時など、特に静かに使用したい場合に便利なのが「静音モード」や「おやすみモード」です。これらのモードでは、風量が自動的に弱められたり、より自然な弱い風になるように調整されたりすることで、運転音が抑えられます。
また、製品によっては、操作パネルのLEDライトを減光する機能が付いているものもあり、より快適な睡眠環境をサポートしてくれます。
その他の機能
静音性以外にも、サーキュレーターを選ぶ際には様々な機能を確認しておくと、より快適に使用できます。
- 風量調整: 細かく風量を調整できるモデルを選ぶと、状況に合わせて最適な風量で使用でき、必要以上に強い風量で運転するのを避けることができます。
- 首振り機能: 上下左右に首振り機能が付いていると、広範囲に効率よく風を送ることができ、空気の循環をより効果的に行うことができます。
- リモコン: リモコンが付いていると、離れた場所からでも操作ができて便利です。
- タイマー機能: 入タイマーや切タイマーが付いていると、就寝時や外出時など、必要な時間だけ運転させることができます。
- お手入れのしやすさ: 羽根やガードが簡単に取り外せて水洗いできるモデルは、清潔に保ちやすく、メンテナンスの手間を軽減できます。
目的別おすすめ静音サーキュレーター
ここでは、これまでの情報を踏まえ、目的別におすすめの静音サーキュレーターをいくつかご紹介します。
製品名 | モーター種類 | 騒音レベル (dB) | 適用畳数 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|
アイリスオーヤマ PCF-SDC18T | DC | 35未満 (風量1-4) | 30畳 | パワフル送風、10段階風量、左右上下首振り、強制撹拌モード、リモコン |
アイリスオーヤマ サーキュレーターアイ DC silent KCF-SDS151T | DC | 17.2 (風量1) | 22畳 | 静音性抜群、手動全分解可能、消灯モード、消音モード |
スイッチボット W3800510 | DC | 約22 (そよ風) | 30畳 | 超静音、自動3D首振り、アプリ連携、コードレス可能 |
ボルネード 633DC-JP | DC | 32 (弱) / 46 (強) | 30畳 | 無段階風量調節、静音設計、カバー・プロペラ水洗い可能 |
シャープ PK-18S01 | DC | 44 (風量7) | 30畳 | ネイチャーウイング、プラズマクラスターNEXT、工具不要分解・水洗い可能 |
YAMAZEN YAR-ZD171 | DC | 32 (最弱) | – | 温風機能付き、送風・温風・乾燥モード、5段階風量、左右首振り、リモコン |
ドウシシャ FCX-180D | DC | – | 16畳 | 分解して水洗い可能、左右上下首振り、9段階風量、おやすみ風モード |
※騒音レベルはメーカー公表値に基づきます。使用環境により異なる場合があります。
寝室での使用におすすめのモデル: 静音性に特に優れたアイリスオーヤマ サーキュレーターアイ DC silent KCF-SDS151Tや、スイッチボット W3800510などがおすすめです。
広い部屋での使用におすすめのモデル: パワフルな送風が可能なアイリスオーヤマ PCF-SDC18Tや、ボルネード 633DC-JP、シャープ PK-18S01などが適しています。
お手入れのしやすさを重視する方におすすめのモデル: ドウシシャ FCX-180Dや、YAMAZEN YAR-EDW15、シャープ PK-18S01など、分解して水洗いできるモデルが便利です。
サーキュレーターの静音性を保つためのメンテナンス
静音性の高いサーキュレーターを選んだとしても、適切なメンテナンスを行わなければ、徐々に騒音が大きくなってしまう可能性があります。長く快適に使用するために、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
最も重要なメンテナンスは、やはり定期的な掃除です。羽根やガードに付着したホコリは、騒音の原因となるだけでなく、性能低下や故障にも繋がる可能性があります。前述の掃除の手順を参考に、こまめにお手入れを行いましょう。
また、定期的にネジの緩みがないか確認し、もし緩んでいるようであれば締め直してください。メーカーの取扱説明書には、製品ごとの具体的なメンテナンス方法が記載されているため、必ず確認するようにしましょう。
おわりに
サーキュレーターの騒音は、原因を特定し適切な対策を講じることで、大幅に改善することが可能です。日々の清掃や設置場所の工夫、そして静音性に優れたモデルの選択によって、より快適な室内環境を手に入れることができるでしょう。本記事でご紹介した情報を参考に、静かで快適なサーキュレーターのある暮らしを実現してください。