PR

犬が小刻みに噛む理由と効果的な対処法

愛犬が突然あなたの腕や服を「カジカジ」と小刻みに噛んでくることはありませんか?多くの飼い主さんが悩むこの行動には、実はさまざまな理由があります。この記事では、犬が小刻みに噛む理由と、その対処法について詳しく解説します。愛犬とより良い関係を築くために、ぜひ参考にしてください。

犬が小刻みに噛む主な7つの理由とその心理

犬が小刻みに噛む行動は、ただの悪い癖ではなく、何らかのメッセージを伝えようとしていることがほとんどです。まずは、なぜ犬がこのような行動をとるのか、主な理由を見ていきましょう。

1. 退屈や暇つぶし – 「遊んでほしい!」というサイン

犬のしつけインストラクターの荒井隆嘉先生によると、何も起こっていないのに突然愛犬が飼い主さんを噛む理由の多くは「ヒマだから」なのだそうです。なんとなく退屈していて、噛むと退屈が紛れるかもと思い、退屈しのぎに噛むことが多いとのことです。

特に活発な犬種や若い犬は、エネルギーを発散する場がないと、飼い主の手や腕、服などを噛んで遊びを求めることがあります。これは犬にとって自然な行動であり、遊びの誘いでもあります。

退屈により足を噛む場合、以下のような状況が考えられます: ・遊べるおもちゃがない ・ずっと室内にいる ・飼い主さんが外出がちで忙しく、かまってもらえない

これらの状況は手や服を噛む行動にも同様に当てはまります。

2. 歯の生え変わりによる不快感

子犬の場合、乳歯から永久歯に生え変わる生後4ヶ月齢~10ヶ月齢になると、犬は歯茎が痒くなります。この痒さを解消するために、物を噛んだり、時には人の腕や足を噛んだりします。

歯が生え変わる時期の犬は特に噛む行為が増えますが、これは成長過程での一時的なものであり、歯の生え変わりが終われば自然に収まることも多いです。ただし、この時期に適切な対応をしないと、噛み癖として定着してしまう可能性もあります。

3. 甘えや愛情表現

飼い主に甘えている、遊びで興奮しているといったポジティブな感情でも強く噛んでしまうことがあります。これは犬が親しみを表現する方法の一つです。

mixiのコミュニティでも「1歳1ヶ月の♀のトイプーです。ときどき、カジカジカジッと、小刻みに袖を噛んできたりします。これって、どういうサインなのでしょうか?甘えきているような、愛情表現をしているような気もします」という質問があり、多くの飼い主さんが同様の経験をしていることがわかります。

子犬の頃、兄弟犬との遊びや母犬とのコミュニケーションで噛み合うことが普通だった犬にとって、噛むことは親愛の情を表す自然な行動なのです。

4. ストレスや不安の表れ

私たちが恐怖を感じたらとっさに手で顔を覆い隠すように、犬もストレスや恐怖を感じたときについ噛んでしまう場合があります。知らない人に撫でられた、引っ越しをして環境が変わった、運動不足、体調不良などで不安を感じていないか気を配りましょう。

ストレスの原因としては次のようなものが考えられます: ・環境の変化(引っ越し、家族が増えた) ・運動不足(散歩の時間が短い、遊ぶ時間が減った) ・飼い主とのコミュニケーション不足(構ってもらえない、留守番時間が長い) ・小さな子供のいる家庭などでのしつこい構い方 ・犬にとって刺激の強い香りや、近所の工事など普段とは違う聞き慣れない音

これらのストレス要因がある場合、犬は小刻みに噛む行動で不安を表現していることがあります。

5. 自分の身を守るため

犬が飼い主を噛む理由には様々なものがありますが、成犬の「本気噛み」の場合、多くは物を守る・身を守るための防衛的な理由が中心です。

過去に怖い思いをした経験や、予期せぬ接触に驚いたときなどに、自己防衛として噛むことがあります。特に寝ているときや後ろから不意に触られたときなどは、驚きから反射的に噛むことがあるので注意が必要です。

6. 健康上の問題

身体のどこかに痛みや不快感がある場合、その部分を触られたくないという気持ちから、噛むことがあります。急に噛むようになった場合などは、身体的な異常が隠れている可能性が強くなります

普段は大人しい犬が突然噛むようになった場合は、体調不良や痛みを抱えている可能性があります。特に老犬や病気を持つ犬は、不快感から噛むことがあるので、獣医師への相談を検討しましょう。

7. 誤ったしつけによる学習

誤ったしつけや、飼い主さんの一貫性のない対応は、愛犬に混乱を招いてしまい噛み癖を悪化させてしまう恐れがあります。甘噛みを許していると、噛むこと全てが許されると認識させてしまいます。

愛犬が突然噛んできたとき、「コラッ!」「痛い!」「ダメでしょ!」などとつい反応してしまいがちです。実はこれもNG!たとえ怒ったとしても、飼い主さんが反応すると犬は「かまってもらえた!」とカン違いして嬉しくなってしまいます

このように、無意識のうちに噛む行動を強化してしまっている可能性もあります。

犬の小刻みな噛み癖を改善する5つの効果的な対処法

では、犬が小刻みに噛む行動に対して、どのように対処すれば良いのでしょうか。効果的な方法を5つご紹介します。

1. 適切な運動と精神的刺激を与える

噛まれたら無視するだけでは足りません。愛犬は「ヒマだから」噛んでいるのです。ヒマを解消してあげることが、根本的な解決につながります

運動不足やエネルギーの発散不足が噛む原因となっている場合は、散歩の時間を増やしたり、ドッグランで思い切り走らせたりして、体力を消費させましょう。また、知育玩具や新しい芸を教えるなど、精神的な刺激も重要です。

自律神経をととのえるには、しっかり動き、しっかり休む、メリハリの効いた生活を送ることが第一です。そのためには、①散歩などの運動をしっかりすること、②犬が自分一人で休めるプライベート空間を用意すること、の2つが重要です。

2. 噛んでもよいおもちゃを与える

犬の「噛むおもちゃ」には、さまざまなタイプがあります。ナインやゴムなど弾力がある素材でできたおもちゃは、気に入れば、夢中になって噛み続けてくれます。噛んでいるとおやつが出てくるもの、ベーコンやフルーツなどのフレーバー付きのものなど、商品ごとに飽きにくい工夫がされています

噛む行為自体は犬の自然な行動であり、完全になくすことはできません。そのため、「噛んでよいもの」と「噛んではいけないもの」の区別をつけることが大切です。噛んでもよいおもちゃを十分に与え、そちらに興味を向けさせましょう。

特に子犬の歯の生え変わり時期には、長時間噛めるおもちゃを与えることが最適です。噛めるおもちゃがないと、周囲にある布製品、家具、飼い主さんを噛んでしまいますので、歯が生え終わるまでは、自由に噛んでも良いおもちゃを周りに置いてあげるよう意識してみてください。

3. 噛まれたときは適切に対応する

腕、足、洋服などを噛まれた場合には、大きな声や興奮した声で叱ると、愛犬は「遊んでもらえている・喜んでいる」と勘違いすることもあるので、噛んだ瞬間に「痛い」「やめて」などのシンプルな言葉で、冷静に叱ることをおすすめします。

特に効果的なのは、もし愛犬が突然噛んできたら、慌てずにその場を離れ、愛犬に対して何の反応もしないこと。「見ない・触れない・声をかけない」、この「3ない運動」を徹底しましょう!別の部屋に行って姿を消すのもおすすめです

噛まれたら、「痛い!」と言って、遊びを中断し、その場を離れるようにすると良いでしょう。犬がまたげないサークルを用意しておいて、その外に出るようにしましょう。サークルがないと、犬はどこまでも追いかけてきてしまいます

このように、噛む行動に対して一切の注目や反応を与えないことで、「噛んでも楽しくない」と犬に学習させることができます。

4. 一貫したしつけと家族間での統一

毎回違う言い方で叱ると犬も混乱してしまうので、言葉は家族内で統一しましょう。

やってよいこと、よくないことのルールを家族の中で統一し、もしやってはいけないことをした時には、必ず、共通したことばで落ち着いて叱ってあげましょう。同じことをしているのに、叱られたり叱られなかったりするのは、犬が混乱するので、決めたルールを守ることが重要です

犬のしつけは一日で完成するものではなく、根気強く続けることが大切です。噛み癖の改善には時間がかかることを理解し、家族全員が同じルールと対応を徹底することで、犬に一貫したメッセージを伝えましょう。

5. 専門家への相談を検討する

血が出る・犬歯が刺さる・縫うような怪我になっている場合は、「治療」の領域に入っており、獣医師(行動診療科)による、診断・治療を行うべきであると心得てください

噛み癖が改善されない場合や、噛む強さが強い場合は、獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談することも検討しましょう。特に攻撃性が高い場合や健康上の問題が疑われる場合は、早めに専門家の診断を受けることをおすすめします。

絶対にやってはいけない3つの対処法

効果的な対処法がある一方で、噛み癖を悪化させかねない間違った対応もあります。ここでは、絶対に避けるべき対処法を3つご紹介します。

1. 体罰や恐怖を与える

叩く、怒鳴りつける、閉じ込めるなど、痛みや恐怖を与えてしつけるのは絶対にやめましょう。信頼を損ねるだけでなく、恐怖心から噛み癖が悪化し、手を上げただけで叩かれると感じて噛み付くようになる可能性もあります

体罰は一時的に噛む行動を抑制できても、長期的には犬の不安やストレスを高め、攻撃性を増加させる原因となります。恐怖に基づくしつけは、犬との信頼関係を壊し、より深刻な問題行動につながる可能性があるため、絶対に避けましょう。

2. 不適切な遊び方をする

犬は「攻撃された」と感じた時に反射的に噛んでしまうことがあります。これは本能的な防衛反応なので矯正するのは難しいです。

例えば、犬の顔に手を近づけて威嚇するような遊び方や、急に後ろから抱きついたりするなど、犬を驚かせたり怖がらせたりする行動は避けましょう。このような行動は犬を不安にさせ、防衛反応として噛む行動を誘発する可能性があります

3. 一貫性のない対応

誤ったしつけや、飼い主さんの一貫性のない対応は、愛犬に混乱を招いてしまい噛み癖を悪化させてしまう恐れがあります。

時には噛むことを許し、時には叱るというような一貫性のない対応は、犬に混乱を与え、何が正しい行動なのかを理解させることができません。また、家族によって対応が異なる場合も、犬は混乱し、しつけの効果が薄れてしまいます。

年齢や状況別の噛み癖対策

犬の年齢や状況によって、噛み癖の原因や対処法は異なります。ここでは、年齢や状況別の具体的な対策をご紹介します。

子犬の噛み癖対策

犬種差や個体差がありますが、概ね1回につき10分間以上のカムアットレーニングを毎日2回程度行えば、子犬は1週間のうちに急速に咬まなくなります。ただし咬むと「飼い主の反応が楽しい」「自分の希望が叶う」といった経験がすでにある場合は、時間がかかります。

子犬時代は特に噛む行動が多いですが、この時期に適切なしつけを行うことで、成犬になってからの深刻な問題を防ぐことができます。歯の生え変わりによる不快感や、遊びの一環としての噛む行動を理解し、適切に対応しましょう。

成犬・老犬の噛み癖対策

成犬の場合、遊びや関心を引こうとして噛む行動は徐々に少なくなる一方、自分の身体や資源を守るための防衛的な理由や、期待した結果が得られない怒りにより攻撃することが多くなっていきます

成犬や老犬の場合、健康上の問題や痛みが噛む行動の原因となっていることもあるため、獣医師による健康チェックを検討しましょう。また、老犬の場合は犬の認知症(認知機能不全症候群)により噛む場合もあります。犬の認知症では感情の起伏が大きくなったり、身近な人を認識できなくなるという症状もあり、そうした症状を原因として噛む行動が発生することがあります。

状況別(遊び中・寝ている時など)の対策

遊びの興奮から噛んでしまう場合は、注意点としては、手に歯が当たったら遊びを中断すると明確に線引きを行うことです。強く噛んだ時だけ中断するとなかなか伝わりません。遊びをやめる判定は厳密にすべきです。

寝ている時に不意に起こされて噛んでしまう場合は、犬が寝ている時はなるべく刺激を与えないよう注意しましょう。どうしても起こす必要がある場合は、名前を呼ぶなど、犬が目を覚ましてから触るようにします

まとめ:犬の小刻みな噛み癖と上手に付き合うために

犬が小刻みに噛む行動は、様々な理由から起こります。退屈やエネルギー発散不足、歯の生え変わりによる不快感、甘えや愛情表現、ストレスや不安、身を守るため、健康上の問題、誤ったしつけによる学習など、その原因は多岐にわたります。

対処法としては、適切な運動と精神的刺激を与える、噛んでもよいおもちゃを用意する、噛まれたときは適切に対応する、一貫したしつけと家族間での統一を図る、必要に応じて専門家に相談するなどが効果的です。

一方で、体罰や恐怖を与える、不適切な遊び方をする、一貫性のない対応をするなどの間違った対処法は避けるべきです

愛犬の噛み癖に悩んでいる方は、まず原因を理解し、適切な対応を心がけましょう。根気強く一貫したしつけを続けることで、愛犬との良好な関係を築きながら、噛み癖を改善することができます

犬が小刻みに噛む行動は、コミュニケーションの一つとも言えます。その行動に込められたメッセージを理解し、適切に対応することで、愛犬との絆をより深めていきましょう。


参考文献

  1. ペテモ [イオンペット] 「たったこれだけで直る!犬が飼い主を噛む理由と噛み癖を直すしつけ方法」
  2. いぬのきもちWEB MAGAZINE 「えっ!それだけの理由!?愛犬が突然、飼い主さんの手や服を噛むのは「〇〇だから」が多かった!」
  3. 犬と猫のしつけ教室ONELife&ぎふ動物行動クリニック 「犬が飼い主を噛む12の理由|獣医行動診療科認定医が解説」
  4. 犬と猫のしつけ教室ONELife&ぎふ動物行動クリニック 「犬の「本気噛み」をやめさせる対処法8選【獣医行動診療科認定医が解説】」
  5. mixiコミュニティ 「[mixi]小刻みに噛む – 犬のマメ知識」
  6. dogoo.com 「犬が自分の手や足を噛む、理由と止めさせる9つ方法 | 犬のQ&A集」
  7. Honda Dog 「愛犬の噛み癖は早めに直す!原因としつけのポイントについて」
  8. 犬との暮らし大百科 「犬が甘噛みするのはなぜ?理由や対処法について解説!【獣医師監修】」
  9. 犬との暮らし大百科 「犬の噛み癖を直すには?噛む理由やしつけを解説【獣医師監修】」
  10. ペットライン 「愛犬のひどい噛み癖を直したい!噛む理由と3つのしつけ方法を紹介」
  11. ウェブマガジン ペットと、ずっと。-ユニ・チャーム ペット 「人の手を咬まない犬に育てる 子犬の甘咬み抑制と咬みグセ予防」
  12. 犬と猫のしつけ教室ONELife&ぎふ動物行動クリニック 「子犬のひどい噛み癖の7タイプ別、原因としつけ方」
  13. 和漢・みらいのドッグフード公式ブログ 「愛犬が足を噛む理由とは?リスクや対処法も合わせて解説」
  14. mybestiee.jp 「【獣医師監修】犬の噛み癖に悩んでいる方必見!犬が噛む理由としつけ方について解説」