寒い季節になると恋しくなるのが、ほっこりと体を温めてくれるおでん。しかし、せっかく作ったおでんの味が薄くて物足りない…そんな経験はありませんか?市販のおでんの素を使っても、材料を入れすぎたせいか思ったより味が薄い、大根に味が染み込まない、などの悩みは案外多いものです。
この記事では、おでんの味が薄いときの原因と、すぐに試せる対処法、そして次回からは失敗しないための作り方のコツをご紹介します。おうちで専門店のような本格おでんを楽しみましょう!
おでんの味が薄くなる原因とは?
おでんの味が薄く感じてしまう原因はいくつかあります。まずはなぜ味が薄くなってしまうのかを理解しておきましょう。
1. 具材の下ごしらえが不十分
大根やこんにゃくなどの具材は、そのまま入れただけでは味が染み込みにくいものです。特に大根は水分を多く含んでいるため、下ごしらえをせずに入れると、煮込む過程で水分が出て全体の味を薄めてしまいます。
2. 材料を入れすぎた
おでんの具材をたくさん入れると見た目は豪華になりますが、汁の量に対して具材が多すぎると、味が薄まってしまいます。特に水分を多く含む大根や白菜などを入れすぎると顕著です。
3. 煮込み方や温度管理が適切でない
おでんは強火でグツグツと煮立てすぎると具材から出る水分で味が薄まることがあります。また、保温状態でじっくりと味を染み込ませることが重要なので、煮方や火加減も重要なポイントです。
4. 冷ます時間がない
おでんは一度煮た後に冷ますことで、具材に味が染み込みやすくなると言われています。時間がなくすぐに食べると、まだ味が染み込みきっていない状態になることがあります。
5. 出汁や調味料の配合が不適切
おでんの味の決め手は出汁です。出汁が薄かったり、醤油やみりんなどの調味料の配合が不適切だと、全体的に味が薄く感じることがあります。
おでんの味が薄いときの即効対処法5選
すでに作ってしまったおでんの味が薄いと感じたときに、すぐに試せる対処法をご紹介します。
1. 調味料を追加する
最も簡単な方法は、足りないと感じる調味料を追加することです。醤油、塩、みりんなどを加えて味を調整しましょう。ただし、一度に大量に加えず、少しずつ加えて味見をしながら調整するのがポイントです。
調味料を加えるのが1番簡単な方法です。基本的には作っているおでんにすでに入っている調味料を足すのがいいでしょう。
2. 出汁を濃くする
顆粒だしや出汁パックを追加することで、おでんの旨味を増すことができます。特に昆布だしやかつおだしは、おでんの風味を引き立ててくれます。
味が薄いおでんの時は顆粒の昆布だしの素を足すとよいという意見もあります。
3. 一度冷ます
すぐに食べる予定がなければ、一度火を止めて完全に冷ましてから再加熱するとよいでしょう。おでんの味が薄いと感じたら、一度冷ますことが最も簡単な方法です。冷ますことで具材に味が染み込みやすくなります。
4. 鍋ではなく器で調整する
おでん全体の味を変えるのではなく、食べるときに器に取り分けてから調味料を足す方法もあります。取り分けた皿に調味料を加えるのがおすすめです。これなら自分好みで濃さを調整でき、濃すぎる時は汁をさらに付け足したりと、あなただけの調整ができます。
5. 味の濃い具材を追加する
味の濃い練り物や、だしの出る具材(鶏団子、昆布など)を追加することで、全体の味わいがアップします。出汁の味が足りないと感じる時は、鶏団子や巾着など、だしが出るものを加えると美味しくなります。
おでんの具材から味を引き出すコツ
おでんの味は具材からも大きく影響を受けます。具材から最大限に旨味を引き出す方法をご紹介します。
練り物の選び方と量
練り物からも旨味成分が出るため、おでんには欠かせない具材です。練りものからも出汁が出るから、そのほうがおでんのタネの味を引き出してくれるし、「出汁の旨味+タネの出汁」が合わさって美味しくなるんです。家庭でおでんを作るときも練り物をしっかり入れると美味しくなります。
旨味を出す具材の組み合わせ
練り物だけでなく、昆布や大根からもグルタミン酸といううま味成分が出ます。特に大根と昆布からはうま味成分グルタミン酸が豊富に出ます。他の食材の味を引き立てる効果があるため、料理全体の味わいを豊かにしてくれます。
具材の配合バランス
おでんの専門店では、「味が出るもの」と「味を吸い込みやすいもの」をバランスよく組み合わせています。おでんに入れるタネを選ぶ際は「味が出るやつ」と「味を吸い込みやすいやつ」を選ぶとよいでしょう。
おでんを美味しく作るための下ごしらえのポイント
具材の下ごしらえをしっかり行うことで、おでんの味が格段に良くなります。主な具材の下ごしらえ方法をご紹介します。
大根の下ごしらえ
大根は味が染み込みにくい食材ですが、しっかり下ごしらえすることで美味しく仕上がります。
大根は約3cm厚さの輪切りにし、外側の繊維が残らないように厚めに皮をむきます。表に3mm幅で隠し包丁を入れ、裏返して90度回転させ、同様に隠し包丁を入れます。鍋に大根を入れ、米の研ぎ汁を大根が隠れるくらいに注ぎ、塩一つまみを加えてゆでます。竹串がスッと通るくらいになったら大根を取り出して、熱湯で1~2分間ゆでてぬか抜きをして、ぬか臭さを取ります。
こんにゃくの下ごしらえ
こんにゃくも下ごしらえをすることで、味が染み込みやすくなります。三角形にこんにゃくを切り、格子状の切り込みをいれ、少量の塩をまぶしておきます。
練り物の下ごしらえ
練り物や厚揚げは油で揚げられていることが多く、この油分が味を染み込みにくくする原因になります。油揚げや練り物は、油で揚げて調理してあります。この油分が味を染みにくくさせる原因になります。さっと熱湯をかけるか、電子レンジで軽く加熱して余分な油を抜くとよいでしょう。
プロ直伝!おでんの味付けの黄金比率
美味しいおでんを作るための味付けの黄金比率をご紹介します。出汁と調味料の配合が味の決め手です。
関東風おでんの配合
関東風の透き通った薄味のおでんには、次の配合がおすすめです。
おでんは4~5人分で、だし汁1.5L、醤油(あれば薄口醤油)60ml、みりん60ml、砂糖大さじ1、塩小さじ1/3ほどを鍋に合わせます。
すっきり風味の塩味おでん
塩だけで味付けるすっきりとした風味のおでんも人気です。すっきりした味に仕上げたいので、「出汁20:醤油1:酒1」でおでん出汁をつくります。一般的なおでん出汁の割合は「出汁20:醤油1:みりん1」ですから、みりんのかわりに酒の甘さを使った配合です。
だしの取り方
おでんのだしは普通の煮物より濃いめに取るのがコツです。おでん用のだしは、煮物などに使うものに比べると、うま味や香りがしっかり強いほうが美味しいです。昆布もかつお節も少し多めに使ってだし取りしてみてください。
意外なトッピングでおでんを味変する方法
おでんの味が薄いときは、トッピングで味変するのも一つの方法です。定番のからしだけでなく、意外な組み合わせもご紹介します。
定番のトッピング
味が薄いと感じる時には、からしを添えて食べるのもおすすめです。特に大根との組み合わせは絶品で、いくらでも食べられます。
意外な美味しさのトッピング
意外なトッピングを加えることで、新しい味わいを楽しむこともできます。
意外にもマヨネーズはおでんと相性抜群。まろやかさがおでんの味を深めます。
その他にも、柚子胡椒、ポン酢、七味唐辛子なども合います。柚子胡椒をつけると味にメリハリがでる上に、ピリッとして美味しいです。柚子の香りがおでんとよく合います。
おでんの煮込み方・時間の管理方法
おでんの煮込み方や時間管理も味の薄さに大きく関わります。プロの煮込み方をご紹介します。
温度管理のコツ
おでんの基本は「長時間煮込まない」こと。90℃〜95℃くらいの温度を意識すると上手にできます。また、おでん屋さんで出汁を沸騰させてはいけません。出汁が濁って美味しくなくなってしまうからです。澄んだ出汁にしておくためにも、おでんは沸かさない方がいいのです。
タイムスケジュールの目安
おでんを作る際の時間管理も重要です。おでんは、下ごしらえも、煮る時間も長くかかります。1日目を下ごしらえ、2日目に一度煮ておく、3日目に食べるくらい、余裕をもって作るのもおすすめです。
おでん出汁をつくったら、下茹でした大根、適当な大きさに切ったこんにゃく、練り物類を鍋に入れ、出汁を入れます。沸騰させないように注意しながら15分間煮て、火を止め、蓋をして1時間以上置きます。その後、再び中火にかけ、沸いてきたら弱火に落とし、蓋を開けた状態で10分間煮れば出来上がりです。そのまま食べられますが、火を止め、一晩(8時間以上)置くと味がさらに染みるので、前日につくって翌日食べると最もおいしく味わえます。
具材を入れるタイミング
具材によって煮込む時間を変えるのも大切です。おいしくおでんを作るには守りたいコツがあります。「煮えにくいもの、味のしみ込みにくいものから順番に煮る」「弱火でコトコト煮る」「鍋にフタをして煮込むときは必ずフタをずらす」「練りものは煮込みすぎない」「はんぺんは食べる直前に」などです。
薄味おでんの美味しい活用レシピ
せっかく作ったおでんの味が薄い場合は、アレンジレシピで活用するのも手です。
カレーおでん
おでんの鍋にカレールウを入れます。出汁や醤油の味が付いているので、ルウの量はいつもより少なめに。お蕎麦屋さんのカレーうどんのような、和の味がするおいしいカレーができます。練り物や大根も意外とカレーに合うんですよ。
おでん出汁の活用法
おでんの出汁のうま味を存分に生かしたリメイクメニューもあります。牛肉・じゃがいも・ニンジンや玉ねぎなどの肉じゃがの具材を炒めたら、おでんのお出汁を入れて煮込むだけです。もし味が薄いと感じたら、醤油やみりんを加えて調整しましょう。
まとめ:失敗しないおでん作りのポイント
おでんの味が薄いときの対処法と、美味しく作るコツをご紹介しました。おさえておきたいポイントをまとめます。
- 具材はしっかり下ごしらえして水分や臭みを取り除く
- だしは普通の煮物より濃いめに取る
- 練り物など「味の出る具材」と大根など「味を吸収する具材」をバランスよく配合する
- グツグツ煮立てず、90℃前後の弱火でじっくり煮る
- 一度煮たら火を止めて冷まし、再加熱すると味が染み込みやすい
- 味が薄い場合は、だしや調味料を追加するか、トッピングで味変を楽しむ
これらのポイントを押さえれば、家庭でも専門店のような本格おでんを楽しむことができます。寒い季節に、家族や友人と温かいおでんを囲んで、心も体もほっこり温まる時間を過ごしてくださいね。