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エシャロット、のびる(野蒜)、エシャレット(らっきょう)の違い:特徴・栽培・食べ方まで徹底比較

料理の香り付けや風味づけとして使われる「エシャロット」と、春の山菜として親しまれる「のびる(野蒜)」。名前は似ていませんが、ともにネギ属の香味野菜として利用されるため、混同されることもあります。さらに「エシャレット」という名前も加わり、さらに混乱が生じています。この記事では、エシャロットとのびるの違いを明確にし、それぞれの特徴や美味しい食べ方までを解説します

エシャロットとのびる、基本的な違いとは

エシャロットとのびるは、同じネギ属の仲間ですが、原産地や形態、流通形態などが異なります。まずは基本的な違いを整理してみましょう。

エシャロットの基本情報

エシャロット(学名:Allium cepa L. var. aggregatum)は、タマネギの変種です。調味料および野菜として栽培されており、食用とされる球根(鱗茎)もエシャロットと呼ばれます。かつてはユリ科に分類されていましたが、現在はヒガンバナ科に分類されています。

エシャロットの特徴:

  • 原産地:中央アジア
  • 形態:小型のタマネギに似た形で、複数の鱗茎が集まっている
  • 色:表皮が銅色や赤褐色、中身は紫色がかったピンク色
  • 味:タマネギよりもマイルドで甘みがあり、ニンニクに似た風味
  • 流通:主にヨーロッパからの輸入品が多い

のびる(野蒜)の基本情報

のびる(学名:Allium macrostemon)は、日本の野原や河川敷などに自生する野草です。日当たりのよい土手や道端に生える野草で、全体の姿や臭いは小ネギやニラに似ています。花にムカゴをつけて繁殖し、葉と地下の球根は食用になり、古代から食べられていたといわれています。

のびるの特徴:

  • 原産地:東アジア
  • 形態:根元に小さなタマネギ状の鱗茎があり、細長い葉を持つ
  • 色:鱗茎は白色
  • 味:ラッキョウとニンニクを混ぜたような風味で、ツーンとする香りとヌルッとした食感
  • 流通:主に春の山菜として採取され、市場流通は少ない

混同されやすいエシャレットとは

エシャロットと混同されやすいのが「エシャレット」です。エシャレットとは若いうちに収穫したらっきょうのことで、食用となる白い部分が多くなるように土寄せして栽培し、食感が硬くなる前に収穫したものです。元々は「エシャロット」という名前で売られていましたが、玉ねぎの一種であるエシャロットが出回るようになり、区別するために「エシャレット」に変わりました。

エシャレットの特徴:

  • 原産地:中国(ラッキョウの若採り)
  • 形態:ラッキョウの若い株で、白い部分が多い
  • 色:白色(土寄せにより)
  • 味:一般的なラッキョウほど香りやクセが強くなく、生で食べられる
  • 流通:日本国内で栽培・流通

外見の違い:見分け方のポイント

エシャロット、のびる、エシャレットの外見は似ている部分もありますが、以下のポイントで見分けることができます。

エシャロットの見た目

エシャロットはたまねぎの一種で、一般的なたまねぎのように何層にも重なってひとつの塊になっているわけではありません。表面の皮を剥くと複数の塊になっているのが特徴です。日本のたまねぎのようなオレンジ色のものや、きれいな紫色のものがあります。

のびるの見た目

ノビルは日当たりのよい道端や土手に生えている野草で、意外と身近によくある野草です。食材として流通することは少ないですが、春の山菜として楽しむ愛好家も多いです。 葉はネギのように筒状ではなく、断面がV字型でニラのような形状です。根元に小さなタマネギ状に肥大した部分があり、若い葉とともにこれを食用とします

エシャレットの見た目

エシャレットとは、ユリ科ネギ属の根菜。らっきょうを生食用に土寄せして、白くやわらかく栽培し若取りしたものです。見た目はらっきょうのようで、さわやかな香りが特徴。一般的ならっきょうと比べるとクセが少なく、辛味が少ないです。

歴史と名前の由来

エシャロットの歴史と名前の由来

日本語の名称はフランス語の「échalote」の転写です。英語では「shallot」と呼ばれます。エシャロットの古い名称はラテン語で「アスカロンの(タマネギ)」を意味する「ascalonia(cepa)」から来ています。

のびるの歴史と名前の由来

和名ノビルの語源は、昔から食用野草として知られることから、野に生えるヒル(蒜)という意味で、蒜はネギやニンニク、ニラなどネギ属の野菜の古称です。蒜という呼び名は、食べるときに辛くて舌がヒリヒリすることにちなむといわれています。

エシャレットの歴史と名前の由来

1960年代頃、なかなか売れない葉付きらっきょうに、西洋野菜の「エシャロット」と名前をつけて販売したところ人気が出てそのまま定着。近年になり本来のエシャロットがヨーロッパなどから輸入され始めると、混同を防ぐために「葉付きらっきょう=エシャレット」、「エシャロット=ベルギーエシャロット」として市場に出されるようになりました

栽培方法の違い

エシャロットの栽培方法

エシャロットは球根を分球させて栽培します。日当たりと水はけの良い場所を好みます。春または秋に植え付けを行い、適切な管理を行えば家庭菜園でも育てることができます。ただし、日本では栽培例が少なく、輸入に頼っている状況です。

のびるの栽培方法

のびるは自然に生えている野草を採取するのが一般的ですが、ムカゴや種子から栽培することも可能です。日当たりの良い場所で育ち、特別な管理はあまり必要とせず、丈夫に育ちます。

エシャレットの栽培方法

エシャレットはラッキョウを若採りするもので、通常のラッキョウと同様に栽培されますが、収穫時期が早いのが特徴です。また、食用となる白い部分を増やすために土寄せを行います。

料理での使い方と食べ方の違い

エシャロットの料理での使い方

エシャロットは、味はマイルドで甘みと適度な辛みがあり、生食にも加熱調理にも適しています。料理においては、炒め物、ソテー、煮込み料理、スープ、ソースなどに使われ、生のままサラダやサンドイッチにも使われます。フランス料理で特に使われていて、様々なソースのベースとなります。

おすすめの料理:

  • フランス料理のソース(ベアルネーズ、ブールブラン、ミニョネットなど)
  • ステーキやグリル料理の付け合わせ
  • サラダのドレッシングに
  • 魚料理の風味づけに

のびるの料理での使い方

のびる(野蒜)の食べ方は、生のまま味噌をつけて食べたり、熱湯でサッと茹で、酢味噌あえなどでいただきます。 山菜としての風味を楽しむ料理が中心です。

おすすめの料理:

  • 酢味噌和え
  • 天ぷら
  • お浸し
  • 薬味として
  • ぬた和え

エシャレットの料理での使い方

エシャレットは、柔らかい食感とピリッと辛みのある味が特徴です。加熱して食べることもありますが、生のままでも美味しく食べられます。生で食べる場合には、みそやマヨネーズなどをつけて食べることが多いようです。また、しょうゆ漬けやぬた和えなど、和食に使われることもあります。

おすすめの料理:

  • 肉巻き
  • 天ぷら
  • 酢味噌和え
  • しょうゆ漬け
  • マヨネーズディップ

栄養価と健康効果

エシャロット、のびる、エシャレットの共通する健康効果

これらのネギ属の野菜には、アリシンという成分が含まれており、以下のような健康効果が期待できます

エシャレットとエシャロットは見た目や味などに違いはあるものの、同じネギ属ですので、栄養は似ています。両方ともアリシンが含まれているので、殺菌作用を持ち、血行促進や血栓予防などの効能があります。ビタミンB1と結合すると「アリチアミン」となってビタミンB1の吸収を高めます。

のびるにも同様の効果が期待でき、古くから薬草としても利用されてきました。

選び方と保存方法

エシャロットの選び方と保存方法

エシャロットを選ぶ際は、皮がきれいで乾燥しており、傷やへこみ、カビ、湿気がないものを選びましょう。形が整っていて変形していないものを選ぶのもポイントです。 保存は涼しく乾燥した場所で行い、湿気を避けましょう。

のびるの選び方と保存方法

のびるを採取または購入する際は、葉が生き生きとしていて、鱗茎が白くてみずみずしいものを選びましょう。保存は湿らせたペーパータオルで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。なるべく早めに食べるのがおすすめです。

エシャレットの選び方と保存方法

エシャレットは、白い部分が多くて張りのあるものを選びましょう。保存は湿らせたペーパータオルで包み、冷蔵庫の野菜室で保存します。芽が出やすいので、早めに食べることをおすすめします。

エシャロット、のびる、エシャレットを使ったおすすめレシピ

それぞれの特性を活かした、おすすめのレシピをご紹介します。

エシャロットのミニョネットソース

生牡蠣やシーフードとの相性が抜群のミニョネットソースは、エシャロットの風味が効いた本格フレンチの味わいです。

のびるの酢味噌和え

春の味覚、のびるを酢味噌で和えた一品。ピリッとした辛みと酸味が食欲をそそります。

エシャレットの肉巻き

さわやかなエシャレットとジューシーな豚バラ肉の相性は抜群。レモンを絞って食べれば後味さっぱりでお酒のお供にぴったりです。

まとめ

エシャロット、のびる、エシャレットは、同じネギ属の仲間でありながら、原産地、形態、味わい、用途が異なる野菜です

エシャロットはタマネギの変種で、主にヨーロッパから輸入され、フランス料理のソースなどに使われます。のびるは日本の野原に自生する山菜で、春の味覚として親しまれています。エシャレットは若採りのラッキョウで、かつてはエシャロットという名前で売られていたため混同されることがありました

それぞれの特徴を理解して、料理に活かしてみてください。季節や用途に合わせて使い分けることで、料理の幅が広がること間違いなしです。特にエシャロットはフランス料理の格調高い味わいを、のびるは日本の春の風味を、エシャレットは和食の繊細な香りを楽しめます。ぜひ食べ比べてみて、その違いを味わってみてください。